二コマコス倫理学

義と儀と議と蟻

『敵に塩を送る』という有名な言葉がある。 いまさら説明するまでもないが、上杉謙信が宿敵、 武田信玄に次のような書状を送ったと伝えられている。「聞く北条氏、公を苦しむるに塩をもってすと、 これきわめて卑劣なる行為なり、我の公と争うところは、 弓…

多義的な義

『「義」の字は「我」と「羊」である。「羊」とは「美」と同義である。ゆえに、「義」とは「我を美しゅうする」との意となる。繰り返す。「義」とは、正に「己にとって美しく生きる」ということなのである。』 「義風堂々2」(原哲夫・堀信彦・武村勇治、20…

儒教と道教

アラスデア・マッキンタイアは『美徳なき時代』でそうした「不一致」をおおよそ次のように分析する。 マッキンタイアによれば、私たちが実際に住んでいる世界の道徳言語は無秩序に陥っている。伝統的道徳概念の断片を寄せ集めたにすぎないものを各々が手に取…

人はなぜ山に登るのか

「そこに山があるからだ」 と登山家が答えたという話はあまりにも有名。 これが名言として名高いのは、それ(ここでは山に登ること)が他の何者にもよらずそれ自身として価値があることを、極めて簡潔に言い表すことに成功したからだろう。 『二コマコス倫理…