養老伝

この記事たくさんブクマもついててコメントも好意的。養老ファンとしてはこういうの何となく嬉しいのだった。
しかし『バカの壁』以降の養老ブームのようなものに対して「ケッ」っと思ってるようなひねくれ者をネットでは割と見かける。そういうのを見ると何となく悲しい。
メジャーなものに「ケッ」といって背を向ける、そういうひねくれ者にこそ養老孟司の本は「クル」のになーというちょっと残念な気持ち。
あーいう立ち位置での振る舞いなんてのは世を忍ぶ仮の姿であって、養老先生はかなり、いや相当変な人である。
その変人具合はもっと知られていいと思うので以下いくつか上げてみる。


死体の展覧会
ドイツのグンター・フォン・ハーゲンス博士という人が開発した、死体を加工して標本にする新しい技術「プラスティネーション」というのがあるんだけど、そのずばり死体を展示する「人体の不思議展」というイベントを1995年に最初に主催したのが養老孟司
現代人はもっと死体にふれるべきだ、という元来の主張があってのこととはいえ、常識的な感覚では違和感ありすぎる。
現在この「人体の不思議展」はリンク先にあるように雲行きのアヤシい方向に行ってしまったけど。


この世でいちばん会いたい女性=高橋留美子
かなりマンガ好き。高橋留美子は絶妙。というかただのミーハー。
他にも中国の古典の影響とかいう流れで『ドラゴンボール』について詳しく書いていたり。これはテレビで語ったりもしてるらしいので有名か。


ゲーム脳
Diablo』『ヒーローズ オブ マイト&マジック』『エイジ オブ エンパイア』とかボロボロ出てきてる。PCゲーム詳しくないであれだけど、

友人がくれた、あるパソコンゲームを私は正月休みには徹夜して、今も3ヶ月経つが、まだ毎日やっている。61歳の私が、徹夜して出来るという事は、私のこれまでの人生の方が、このゲームよりもつまらなかったという事だ。こんなに私が一生懸命になれるほど、いかにパソコンゲームがおもしろいというか、人生で起こる程度のバリエーションはゲームの中に入ってしまうという事だろう。

http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/japanese/telecouncil/yakuwari/990531d2i18.html

というぐらいのハマりっぷり。


猫好き
どうでもいいけど。他に猿も飼ってたとか。


南伸坊内田春菊
養老孟司のファンといえばこの二人という感じ。特に南伸坊は養老ブームの基盤を作ったような印象があったりする。『バカの壁』は編集者による聞き書きによって書かれたものらしいけど『解剖学個人授業』なんてのはその嚆矢であり、養老孟司の魅力をとても分かりやすく伝えるものだったと思う。なんにせよ、内田春菊を含めどっちかというと世間に背を向けたような人たちにファンが多かった印象。




ウィキペディアの記述*1でも妙なとこ詳しく書かれてるのでダブってるとこもあるけどこんな感じ。虫マニアっていうのはまぁ有名過ぎるので除外。
何が凄いって養老先生は1937年生まれのもう御年70歳になろうというジジイだってことだ。果たして高橋留美子とかDiabloについて語り合える人が同年代にいるかという。
これがどういう年代かというと小学二年で終戦をむかえ教科書に墨を塗った世代、さらに東大で助手をやっていた時に全共闘運動、その後教え子からオウム信者になった者が出たり、と世の中の価値観が引っくり返るような出来事を何度も経験されている。そして解剖学者として長年死体を切り刻んできたのだ。
良い悪いとか正しい間違ってる以前にもう人物として、状況証拠的にも面白いに決まってるじゃないかと。
恐るべきジジイである。と思いきやゲームで徹夜なんかして、山で網持って虫追いかけてる時が一番幸せだという見事なコドモっぷり。きょうびホントの子供だってこんなにコドモらしくないんじゃないだろかという。
いやオレは尊敬してるのです。養老「先生」と表記するのにまったく何のてらいもないぐらいに。
そういうわけで「ケッ」という気持ちに引っかかってしまうのはもったいないなー・・・と思うけど同時に「オレだけが分かっているのだ」とほくそ笑むファン心理もあって、結局どうでも良かったりもして。



*1:どうでもいいけど「養老孟司」の項目が半保護状態になってるので見てみたら、茂木健一郎氏らしい人がツッコミ入れてるのを発見。実際ウィキの記述にはそこはかとない悪意が漂ってる感があり・・・