トラックバックによる記事の価値評価

まずさかまたさんとこの記事からの引用。

自分では使う事の出来ないお金、というのはどうだろうか?
つまり人に使ってあげる事ではじめて使える通貨。自分の欲しいものは全て他人のオゴリだし、自分の稼ぎは全部人にオゴルという一見やりがいの無いシステム。

これはかなり面白かった。確かにこの『相手に与える事ができるだけの通貨』というアイディアには既存概念を引っ繰り返しそうな何かがあると感じた。これを読んでから色々考えてた事がちょっと繋がりだしたのでそのアイディアを書いてみる。
もう一つreplicornさんの記事からの引用。

ブログでトラックバックを送信できますが、これは自分が頷いた情報、つまり価値のあると思った情報なわけで、トラックバックの送信時に電子マネーを勝手にポイント振り込むっていうのはどうだろうか。多く引用される文章ほど、それに見合った対価が支払われる仕組だ。

トラックバックがポイントとして評価されれば、ブログの記事を関連付けさせる動機になって「ブログ文化」を豊かにする事ができると思う。現在評価軸が殆どアクセス数にしかない状況に不満があるオレとしてはこのトラックバックをもう一つのブログの評価軸にしたいと思っている。
で、このトラックバックをポイントとして捉えるとこれはまさしく相手に与える事しかできない通貨、と考えられるのだが、これは実は通貨というよりは「選挙権、投票権」といった方が近い気がする。というかよく考えてみれば選挙権の一人一票はまさに相手に与える事でしか意味の無い「何か」であるのだ。(といっても例外的に「立候補した人」は自分に投票できる。だがこれはホントはおかしな事だとオレは思っている。なぜならそこにはまず「選択」がない。であるがゆえに全員自分に入れるので結果への「影響力」もほぼゼロ。投票としての意味はまったくないんだから、選挙権はなくてもいい。もちろんあったって別にいいんだけど笑)
この「何か」は支持なり共鳴なりの「気持ち」を表していると考えられるが、そもそも「信頼通貨」には同じような意味付けを与えようとしているわけで、それが投票的意味を持つのは当然であるかもしれない。




トラックバックでの記事評価の方法
で、ここではトラックバックに投票的意味付けをする事で、記事の情報としての価値をいかに公正に評価するかというのを考えた。
まず評価の基準に使う事の出来る「データ」には次の三つのものがあると思われる。

  1. アクセス数
  2. トラックバック
  3. 被トラバ先の記事から飛んできた人の数

アクセス数とトラックバック数については特に異論はないと思うが、ただこの二つにはどちらにもそれぞれ問題はある。
アクセス数は多くの人が読みたい記事=価値がある、というのを確かに表しているが、問題は多くの人に読ませたいと思っている書き手、によってかなりな程度アクセスが獲得できてしまっている状況である。そこで確立されている方法論は必ずしも内容に関係のないものだったりして、アクセス数=価値の大きさ、という風に単純にイコールでは結ぶ事ができない。
トラックバック数は記事の再生産という点からいっても、強い興味を示した人の数、としても記事の価値をある程度表している。批判ばかりだったとしても「問題提起」という基準ではやはり相当価値があると言っていいと思う。だがこれも単なる仲間内での馴れ合い的な狭い連鎖としてなされていれば第三者にとってはどうでもいい情報でしかないかもしれない。そもそも相当有名なブログでない限りトラックバックの数自体が少なすぎて有効なデータとなりうるのかも疑問である。


というわけでどっちにも色々問題があると思うのだが、この二つのデータをうまく融合させてより公正なデータの基本になりそうなものとしてオレが考えているのが三つ目の『被トラバ先の記事から飛んできた人の数』になる。
これは言い換えると「自分の記事についたトラバから他所のブログの記事に飛んでいった人の数」の事だ。(何ていうんだろこれ・・・逆アクセスの逆?逆リンク元?)これが記事の価値を測る最も公正なデータになりうると思っている。
というのはある記事を読んでその記事に付いたトラバ先までチェックする人というのは「その記事に物凄く興味のある人」であり、その人にとってそれが「非常に価値がある記事」と考えられるからである。オレ自身の経験から言ってもまず滅多な事ではトラバ先までチェックするという事はしない。相当興味を惹いた記事でない限りは読んだら終わりである。アクセス数が問題だと思うのは浅い読み手と深い読み手が同じ一票を投じている点である。単にページを表示させただけ、の人だってそこにはかなり含まれてしまっている。だがトラバをチェックする人は基本的に深く読み込んでいる人のみである。この一票には相当な「価値」を置くべきではないだろうか?


そもそもトラックバックという機能に最初からあった問題は、被トラバ者に必ずしも利益がない、という事である。送った方はそこから観客が流れてくるのでアクセスUPになるが、送った相手のところへのリンクがない場合、相手にとっては必ずしも利益にならないどころか場合によってはマイナスにさえなりうる。ここにちょっと問題があるのである。大体よく考えてみれば「トラバを送った相手の所から流れてきた観客の数」は明らかに相手の記事の力、価値に依存しているのであって、送った方の記事の価値はそこには殆ど影響していない。それはあくまでトラバ先のアクセス数、その中で強い興味を持って内容を深く読み込んでいる人の数、などによって決まっているはず、なのである。そうだとするとこの数字は本来トラバ先のポイントとして評価すべき対象なのではないのか?
現在はてなにはリンク元表示の機能があるが(「コメントを書く」ボタンを押すと見れます)この中のトラバ先から飛んできた人の数、を記事の価値を表すポイントとして相手のところに表示させるべき、なんじゃないかと思う。そうすれば被トラバ者の不利益を解消する事ができるし、そしてこれこそが記事の情報価値を表す最も公正で的確な評価の基軸になるんではないだろうか。そこにはアクセス数、トラバ数、記事の内容、その他全ての影響が程よく調和されているように思う。更にこういう意味付けがなされたトラックバックとはさかまたさんのいう「相手に与える事しかできない通貨」のようなものにもなると思われる。(最も実際はアクセス数との交換、になるのだが)




というわけでこれは「はてなダイアリーへの要望」にしときたい。ってオレはまだはてな市民でさえないのだが(汗)しかし要望ってこうやってキーワードリンクするだけでいいんだろうか?読んでみたけどよく分からず・・・謎。