前回までの補習(2)〜媒体4分類の補足〜

前回記事生きているメディア② - ぶろしきの媒体4分類に対する疑問とか補足してもらったトラバ。


花は朽ちなし、死人に口無し−「メディア論」情報と媒体(2)
ひらきなおり-ひき出者−積みっぱなしの「プロトコルスタック」解説


は非常に面白かった。ここで知ったOSI参照モデルというのと結構近い模様で、そうずれた話でもなかったようなので一先ずホッとしている。(いや不安だったのです。何も知らないで書いてるだけに)
ただ詳細についてはやはり中々オレには理解が難しい。おおよそのところ、漠然としたイメージを掴むとこまででとりあえずは満足。まさしく上で言った「能力不足」ゆえに特に反応はできないのだが・・・一つすごく興味深い指摘があったのでそれについて。

スタックを降りる際、「通信される内容」データに「通信するための情報」データが付加されるこれは当に「パッケージング」の比喩が相応しく、id:santaro_y:20050427で分類された「受容」に当たる。逆に、スタックを登る際には「パッケージ」から「通信される内容」をとりだす。これは分類では「翻訳」に当たる。

要するに・・・受容媒体=翻訳媒体なのではないのか?という指摘。これ実はオレも書きながら悩んでいた事でもあったのです。なのでちょっとこれについて前回の続きとして書いておきたい。




【糸電話メディア】
それを端的に表しているのが「糸電話」である。これを前回のように4分類で説明すると・・・

  1. まずコップに向けて声を発する(空気媒体)
  2. それをコップAがキャッチ(受容)
  3. 糸の振動によってそれがコップBに伝わる(流通)
  4. コップBがそれを空気の振動に変換する(翻訳)

となるわけだ。・・・つまりは。
コップAが「空気の振動」を「糸の振動」に変換する過程(受容)とコップBが「糸の振動」を「空気の振動」に変換する過程(翻訳)はまったく同じ機能じゃないかって事である。これを果たしてどう考えればいいのか?
更にこの事はもう一つ別な事も意味している。前々回の記事へのmakiさんのコメントからの引用。

ちなみに混乱させるようですが、携帯電話なんかは電波かつネットなわけです。紙は流動性が低いですが電波はどうかなと。

むろんオレは電波に対置すべきは「紙」ではなく「インク」だと考えている。しかし多分ここで言わんとしている事はこういう事だと思う。すなわち。
媒体=流通媒体ではないのか?
そうなのだ。これもすごく悩んだとこなのである。糸電話における「糸」は果たして「流通媒体」でいいのか。ひょっとして「媒体」としても考えられるんじゃないのか?

  1. 糸の振動(媒体)
  2. をコップBがキャッチ(受容)
  3. 糸の振動が空気の振動に変換されて伝わる(流通)
  4. 耳がその振動をキャッチ。同時に神経経路を通る形式に変換(翻訳)

と説明できないだろうか?いやできる。まったく問題ない。
だとすると電波や紙を「媒体」と見るか「流通媒体」と見るか、も実はかなり恣意的な見方によっているという事ができる。とすると
〈媒体=流通〉
〈受容=翻訳〉
という事は
〈媒体−受容〉=〈流通−翻訳〉
という話にならないか?という事なのである。実際この違いはとてつもなく微妙・・・なのだが二つに分類して分かりやすくなるかというと話は逆であって、むしろ全体がぼやけてしまってさっぱり訳分からなくなってしまったのである。これについてはOhgyokuさんが記事の最後に

考えすぎて、何も考えられなくなった。

何度も書き直して、結局放棄することもある。

ヒューズが大きな電流に耐えられないようだ。

と書いていたがまったく同感。メディア論は何か物凄いとこに繋がっているようで考えれば考えるほどそれまで当たり前だった事が逆に分からなくなってくるようなそういう危険なシロモノなようです。
そういうわけでひょっとすると4分類は2分類にできるかもしれない・・・というのと、そこで更には〈情報−実体〉にひょっとすると繋がってくるかも・・・って事でもうこの辺でお開きにしたい。