ソーシャルブックマークとウェブログ図書館

というお題で書いてみます。ホントはコメントしようと思ってたんですが長くなりそうだったので記事に。


http://column.chbox.jp/home/jienology/archives/blog/main/2005/06/29_180254.html
ソーシャルブックマークに関する話はウェブログ図書館の方法論と対比すると非常に面白いとオレも考えてます。というより最初にソーシャルブックマークの存在を知った時にこれはウェブログ図書館と食い合いになるのかな〜とちょっと思ってました。
でも実際やってみて色々考えてみた結果、これは全てがまったく逆の方法論によっているって事が分かってきたので以下この二つを対比して考えてる事。

【SBM−図書館】
(1)
【ネットワーク−ピラミッド】
【主観分類−客観分類】
(2)
人海戦術(多数決)−少数エリート】
【民主主義−独裁(笑)】
(3)
【フロー−ストック】
【現在−未来(過去)】
【刹那−普遍】
※ちなみにブログはフロー、Wikiはストック - モジログというブログとWikiを二分法で考察してる記事も妙に重なる部分があって参考になります。

(1)
ここの記事にある図を見ると分かりやすいですが図書館が採用している日本十進分類法はまさにピラミッドの階層構造になっているという事でこれが従来の分類法。でもってあらかじめ与えられた分類項目があるかどうか、が主観と客観を表している。
(2)
とにかくSBMはたくさんの人が共有して作るという人海戦術である点が優れている。ブログの数自体膨大でそれが毎日凄い数更新されてるのでこれを少数でカバーするのはほぼ無理。
ウェブログ図書館の分類法は高度に客観的ではあるが「登録に値するかどうか」の判断は恣意的と言わざるをえない。そうでなかったら当ブログのような零細ブログが登録される事はないわけなので悪い事ではない。もし登録の基準が詳細にわたって明文化されえるなら「法治主義」になるのだろうけどちょっと考えただけでもそれは至難であると思われる。ので今後もこの独裁主義を貫いて欲しいな〜と思っている。
で基本的にウェブログ図書館員にはある程度以上の専門的知識が要求されるので少数エリート主義なのだろうとも思う。しかしこの少数エリート独裁主義にはある種の権威付けが不可欠。そこが多分非常に難しいところなんだと思う。
あと多数決の民主主義では一般に面白いものが多くの票を得る。専門的だったり高度な内容になるとその分だけ興味のある人が減る、わけなのでそういう記事は中々ブックマークされにくい。だからやっぱりその辺を補完する役割に期待がありそう。
(3)
については館長の記事でも書かれているようにソーシャルブックマークはそこにある記事意外は存在しないに等しい、何がないのかが分からないという点が問題だとオレも思います。
ブックマークされやすい記事の偏りも相当ある。”今”面白い記事にリーチしている。これはストックとして見ると例えば一ヶ月後の参照にも耐えられるかどうかが不明。
図書館の登録の基準には半年後の参照にも耐えられるもの、みたいなのが確かあったと思うのでそういう意味ではやはり過去もしくは未来志向なのだと。
いずれせよどっちがいいという話ではなく「違う」という事でそれぞれに利点も問題もあると思いますが、以上の話はあくまで現状では、という事でソーシャルブックマークに関してはまだまだ発展途上でこれからどうなっていくのか分からないので、まぁそれを考える上でもこうして対比して考えると面白いかな〜と思ってます。




で以上の話を踏まえて今後の展開予測(提案)しときます。
現状のはてなブックマークではタグは共有されておらずコメントも検索対象にはなっていない模様。
しかしタグは共有されなければあんまり意味は無い。というかそれでは全然「ソーシャル」でない。のでおそらく共有タグ記法が出来ると思う。(はてなしか知らんのであれだけど多分他のSBMでは共有)
で共有タグなら図書館の採用している日本十進分類法は優れているので積極的に使われる、もしくは推奨した方が良いように思う。どうせやるなら何らかの公益になった方が面白い、と考えるユーザーも少なくないはず。
なので例えばウェブログ図書館が積極的に十進法分類の使用を促してみる。とりあえず第一階層の


[0総記][1哲学][2歴史][3社会科学][4自然科学][5技術][6産業][7芸術][8言語][9文学]


のそれぞれの範囲をある程度分かりやすく明文化してブックマーカー、というか図書館の利用者に共有タグとして使ってもらう。(まぁこの辺見れば大体分かるかもですが)
そうすれば図書館も人海戦術で記事を集めやすくなる。そして何よりユーザーに「参加意識」が芽生える。ここが凄い重要。
《ユーザー》→《参加者》→《支持者》
これからの時代このようにユーザーを支持者に積極的に変えていく努力みたいなのが必要になっていくと考えている。単なる利用者、消費者のままにしておいてはいけない。そういう意味でまず参加意識を持たせるのが第一歩になるのだと思う。(とにかくこの点においてはてなは凄い。既にはてな支持者はいっぱいいる)
という事で共有タグがもし出来てそれを図書館が利用できれば面白くなりそう、なのだけどこれをやるとひょっとするとソーシャルブックマークに飲み込まれてしまう危険性、もなきにしもあらず・・・。
とまぁ好き勝手に色々書きましたが何かちょっとでも参考になるとこがあれば幸いです。



と更新直後に追記。
新しい業務日誌の記事で書かれている内容に十進分類法の問題点の指摘が。そうなんですよね〜。ブログにはブログの分類があってしかるべき。共有タグがそういう新しいブログ的な分類項を創造する可能性も強い。(既に支持されているという権威付きの分類項を。下から)